山口・周防大島で育む うちかたのみかん

栽培ノウハウ

弊社での栽培方法を、技術的な事柄を中心にご紹介します。
ご批評ご批判をいただければと思っています。技術論として議論ができれば、なおうれしいです。

くささまさいばい

いわゆる「草生栽培」とは異なります。弊社の栽培では、肥料は「化成」中心に、また除草剤は平均的には年2回、使用をしています。

柑橘の木には、多くの葉をつけたいと考えます。写真を見ていただくと、弊社の園地には雑草が多いにもかかわらず、柑橘の木に葉が多いことが、おわかりいただけると思います。全ての果樹で言えることですが、光合成を行う葉が多いことは、良品生産の絶対条件です。葉の少ない木からできるみかんは、普遍的に不味いのです。

多くの葉を作るために、土中成分のコントロールは重要です。弊社では「化成肥料」と「除草剤」を用いて、「御草様」(つまり一年草本御) による、土中成分と水分の管理を行っています。

弊社では有機質肥料はほとんど用いません。特に菌体肥料やこれに類いする改良材、堆肥や発酵を伴う肥料は用いないようにしています。これは、土の中に住み着いている有用細菌と競合すると考えるためです。外部から畑に、堆肥と一緒にその環境にふさわしいかどうか判らない細菌を持ち込むよりは、在来細菌の餌となったり、細菌の住処を作る有機物「御草様」を育てる肥料成分を、雑菌の入らない「化成肥料」により取り入れます。

せっかく「御草様」に生えていただいているので、これを有効活用しようと思っています。例えば当園で、夏草の「メヒシバ」の根を調べると最深で50cmあります。一年草のメヒシバは、枯らせばこれが腐り肥料分にもなったり、土を柔らかくするための有機物となったりします。一般に、有機肥料や堆肥を畑に入れて、50cm深までも撹拌することなど不可能ですが、「御草様」には自ら進んで深くまで撹拌していただいております。

●雑草と除草剤を用いた、地中窒素量やカリ量のコントロール

実の糖度を上げるためには、地中の肥料分、特に窒素量を多くしたり少なくしたりする必要があります。初夏には窒素要求が多くなりますが、8月以降は敢えて窒素制限をします。

土中に窒素が多すぎると、光合成で生産されたブドウ糖が、「実の甘味」ではなく「枝や茎」に変化します。この際、併せてカリが多すぎるとブドウ糖が必要以上に根までに移行します。本来、光合成でできた甘みの元「ブドウ糖」は、実に入ってもらいたいと思っています。

おいしいみかんの為の化成肥料の調整
化成肥料による窒素のコントロール

有機肥料に比べて化成肥料は、「いつ」「どの量」で散布したかによって、効果の時期をあらかじめ想定できます。8月以降の土中窒素を、意図的に減らすことができます。

みかんの吸収する窒素やカリをコントロールする御草様
「御草様」および「除草剤」による窒素量やカリ量のコントロール

弊社では、土中窒素を一時的に増やすために除草剤を用い、雑草「御草様」の根まで枯れていただく事があります。この際、根の組織が分解し、その成分が肥料分となり地中に放出されます。 土の深い部分に窒素が増えるようにします。

園地を観察していると、「ハコベ」等の春草は1か月以内に再肥料化します。地中の窒素やカリを減らしたい時には、「御草様」に繁茂していただきます。「御草様」は、畑の土の中から急激に窒素やカリを吸収してくれます。このことで、みかんに吸収させる窒素やカリを制限しています。

今後の更新予定項目